債権回収

債権回収

「貸し倒れない為の売掛金回収テクニック」

Vol.4 差し押さえは第三者債務者との交渉で回収する。

今回でこの事例は完結します。では、逆に売掛債権が未回収になったときどのようなことを知っていれば回収に向けた取り組みがスムーズになるのか。新規に取り引きを始める商売相手のどのような情報を入手しておくべきかを考えましょう。

迷っていても仕方ありません 「何を差し押さえるか」

私たちもかつてここで行き詰ったのです。今回の場合、この方は個人事業主という形で仕事をしている方で、相手はめぼしい財産を持っている様子もありませんでしたが、当然ですが、彼は仕事先から仕事の対価を受け取っています。

このことから私たちの頭は、仕事の発注元が彼に支払うべき代金を私たちのほうに譲り渡していただくようお願いしてみようということに切り替わったのです。この例のなかで、相手に仕事を発注している会社のことを「第三債務者」と呼びます。

順序としては、先に相手方に交渉し、債権譲渡を求めるといった方法が通常のパターンです。ですが、今回はそのための根回しとして彼が下請けとして仕事を受注している企業を特定し、その会社にクライアントとともに出向き、これまでの経緯や今後の流れを説明することにしました。こうすることで、その後の裁判所からの書類に驚かず対応していただくためでもありました。

裁判所から私たちが主張するような債権があるのかどうかという確認のための書類が来ること、またそれに従い彼に支払うべき受注代金を私たちのほうに支払って欲しい旨をお願いしたところこの第三債務者もこちらの説明に納得し、相手方に説明を求めた上で合意が取れればこちらの要求には従ってくれるという確約をいただきました。

これがこの事例の結末 このように手続きを進めていくなかで、クライアントに対し相手方から支払いをするので、先の第三債務者である企業への出入りはしないで欲しいという旨の申し入れがありました。当然でしょうが、取引先に金銭の未払いがあり、これが差し押さえの寸前だということがばれてしまったのです。本来ならば信用の失墜から取り引きの継続さえ危なくなっていたかもしれません。

このような状況にいたってようやく本件は解決を見るのでした。分割ではありましたが、金銭の授受は無事に行われ、債権債務関係は消滅しました。

学習しましょう

今回の事例から学べることは、法的手続きの内容よりも、売掛金の回収が滞るといった状況は、事業を行う上ではいつでも起こり得るということを認識し、さらにこれを回収するためには非常に複雑な回収手段を用いなければならないことを知っておく必要があるということです。

また、そのような状況に遭遇したときは、どの要素を抑えておけば自分にとって有利なのかを示唆できる事例であったとも思います。

自身の事業において新規に取引を開始する際、相手方が約束していたお金を支払わないといった状況に陥ったときに代わりに何を押さえるか、ということを想定しなければなりません。

契約書を交わすことはもちろん重要ですが、これが履行されなかったときどのように行動するのかを考えておく習慣を身につけましょう。

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